こんにちは、資源ビジネスを担当していたこともある商社マンくんです。
私は以前、会社で原油や鉄鉱石の権益獲得の仕事に携わっていたことがあります。
これらの資源は日本国内にはなく、海外にあります。
しかも、アメリカと敵対している国や、治安の悪い国とも権益獲得のための交渉をする必要があり、世界の現状認識を深める必要性に迫られました。
そのときに出会った本が「激動予測」です。
この本は、テレビなどの既存メディアでは知ることのできない、世界各国のそれぞれの思惑や歴史的経緯などが解説されています。
この記事では、商社マンの観点で知るべきポイントを書いてみますね。
イランの立場は複雑
日本で使われている石油の多くが、イランから輸入されていることは多くの日本人はご存じだと思います。
日本とイランは仲が良いですよね。
実際、仲は良いですよ。
ところが、日本の同盟国であるアメリカとイランは、仲が悪いですよね。
かなり険悪な関係です。
このため、私たちイランに原油の権益を持つ商社マンは、複雑な気持ちで仕事をしています。
そして、常に最新の世界情勢の動向を把握するように努めています。
この本では、アメリカは無条件でイランを敵視しているわけではないと解説しています。
隣の国のイラクなど、中東各国との力関係を分析したうえで、イランを叩く必要があると判断し、アメリカはイランを叩いていると解説しています。
つまりアメリカは、中東地域で特定の国に抜きんでた存在になってほしくないために、大国であるイランを叩いているのです。
私たち商社マンは、イランに滞在しているときは「まさか、アメリカが突然イランに宣戦布告しないだろうな」と緊張感を抱きながら仕事をしています。
仮に戦争が勃発したら、私たちは逃げ場がありません。
しかし、アメリカがイランをこれ以上の大国にしたくないという考えでいるならば、戦争勃発のリスクは小さいと判断できますよね。
ブラジルでのビジネスは安泰
私たちの商社は、ブラジルでは鉄鉱石の権益を持っています。
日本の鉄鋼会社に鉄鉱石を売却し、かれらは日本国内の製鉄所で鉄製品に加工し、自動車メーカーなどに販売するわけです。
これは、あまり皆さんには知られていないと思います。
ところが、ブラジルは治安が悪いことは知られていると思います。
ブラジルに旅行したことがある人のほとんどの人が、強盗やスリの被害に遭ったことがあると思います。
怖いですよね。
恐ろしいですよね。
こんな状況ですから、ブラジルでのビジネスについては不安を感じるわけですが、この本を読むと、ブラジルでのビジネスは安泰だと気付かされます。
理由は、ブラジルは南米の大国ですが、アメリカを脅かす存在とはならないためです。
地形的に、ブラジルの北側はアマゾンのジャングルがあり、その先には細い地形の中米があるため陸軍が進撃することは不可能です。
そのため、アメリカがブラジルに対して圧迫行為をすることはないのです。
日常の治安の悪さに注意すれば、ブラジルとは積極的にビジネスをするべきですね。
まとめ
この本を読むと、世界の地域や国ごとに、どのような事情でどの国と敵対関係にあるのか、またはどの国と良好な関係にあるかを知ることができます。
そのうえで、その国が持つ資源権益の獲得に乗り出しても、リスクが小さいか否かを判断することができます。
日本国内には石油も鉄鉱石も天然ガスもありませんから、日本は、多少のリスクをとってでも海外から資源を輸入しなければなりません。
そのために、的確に世界の地政学リスクを説明してくれる「激動予測」のような本は必要不可欠ですよ。
私たち商社マンも、自分の命を危険にさらしてまで海外出張はしたくありませんからね。